全ての事件は、2つの独立組織によって暴かれ、裁かれる。

INTRODUCTION

1990年9月に米NBCで放送スタートして以来、全20シーズンにわたるロングランを記録した、米テレビ史にその名を残す犯罪捜査ドラマの金字塔「ロー・アンド・オーダー」。冒頭で事件が起こり、ニューヨーク市警の刑事の捜査により容疑者が逮捕され、検察による起訴、裁判が行われ、判決が出るまでが1話に凝縮して描かれる。つまり前半は犯罪捜査ドラマ、後半は法廷ドラマの要素を含む2部構成となっており、この画期的なスタイルと圧倒的なリアリティに基づく作風は米テレビ界に衝撃を与えると同時に、本作の生みの親であるクリエイター(企画・製作総指揮)のディック・ウルフの名声を不動のものにした。

米テレビ業界のプライム・タイムにおけるドラマの中で最長記録に並んだ長寿番組「ロー・アンド・オーダー」は、50個以上のノミネート数を誇るエミー賞ではドラマシリーズ部門作品賞に11年連続で候補になるという前人未到の記録を達成。さらにケーブル局での再放送も多く、米では"「ロー・アンド・オーダー」を放送していない日はない"と言われるほどの普遍的かつ驚異的な人気を誇っている。1話完結型なのでどこから観ても楽しめること、万人受けする刑事ドラマと法廷サスペンスをミックスした娯楽性の高さ、また長寿シリーズゆえに再放送を繰り返すことによって新たな世代のファンをも取り込み、世代を越えて高い人気を維持しているのだ。一方、現在も米で放送中の「LAW&ORDER:性犯罪特捜班」(1999年〜)のほか国外も含めて番組のフォーマットを踏襲したスピンオフ番組の数も多く、作品の面白さはまさに万国共通なのである。
また、ニューヨークで撮影されている本作は、地元ブロードウェイの舞台で活躍する演技派から有名・大物ゲスト出演者まで名優たちが勢ぞろい。スピーディでスリリングな展開と俳優陣の競演も見応えのある、超一級の大人のエンターテインメントだ。

NYを舞台に、アメリカの現実を正面から描く!

STORY

女性警部補アニタ・ヴァン・ビューレンが率いるマンハッタン、ニューヨーク市警(NYPD)27分署。ニューシリーズ1では、ベテラン刑事レニー・ブリスコーが退職後、エド・グリーン刑事の新たな相棒としてジョー・フォンタナが赴任して来る。身だしなみに気を使う伊達男に署のメンバーは反発を抱くも、やがてはチームの一員として活躍していく。そんな刑事たちと協力し、時には激しくぶつかり合いながらも同じ事件を手掛けていくのが検察チームのトップ、地方検事アーサー・ブランチのもとで辣腕をふるう検察官ジャック・マッコイと、その部下である検事補には、ニューシリーズ1の第14話からセリーナ・サウザリンに代わってアレクサンドラ・ボルジアが登場。マッコイの容赦のないやり方に最初は戸惑いながらも、持ち前の利発さで才能を発揮していく。ニューシリーズ1が放送された2004〜05年は、イラク戦争をめぐるさまざまな問題が紛糾し始めていた頃。そんな時代背景をいち早く反映させて、帰還兵やテロの問題から戦争の是非にまで踏み込んだ力の入ったチャレンジングなエピソードも少なくない。

ニューシリーズ2以降でも刑事たちが何人か入れ替わりながらシリーズに新風を巻き込んでいく。ニューシリーズ5〜6ではサイラス・ルーポとケヴィン・バーナードの若手コンビが活躍。一方、ニューシリーズ3から登場する美女コニー・ルビローサ検事補と、ニューシリーズ4から登場する、ときに感情的になる熱血検事補マイケル・カッター、さらにニューシリーズ4以降は地方検事に昇格したマッコイが毛嫌いしていた政治の世界に巻き込まれていく中で、命がけで己の信念を通す姿が描かれていくのも観逃せない。

実在の事件を元にした圧倒的なリアリズム!

REALISM

企画・製作総指揮のディック・ウルフが「ニューヨークポストの一面がドラマのバイブルだ」と語っているように、「ロー・アンド・オーダー」の各エピソードは“実在の事件”にインスパイアされている。日本人にわかりやすいところでいえば、ロス疑惑事件やジョンベネ殺害事件、マイケル・ムーアのドキュメンタリーにも扱われたコロンバイン高校銃乱射事件を題材にしたエピソードなどがあるが、深刻な社会問題をはらむ大事件から、著名人のゴシップ、身近な日常トラブルまで、事件の中身は多種多様。人種差別、同性婚、エイズ、幼児虐待、カルト宗教、尊厳死、さらには9.11テロやイラク戦争絡みの事件が扱われることもある。

さらにこのドラマは、新聞の見出しからはわからない事件の深層にも迫っていく。例えばアブグレイブ刑務所の捕虜虐待事件を題材にした「鮮血の十字架」(ニューシリーズ1第1話)は、イスラム教徒の女性がアメリカの女性兵士を殺害した“報復処刑”を巡る物語。表面的には明らかに有罪と思わせる事件だが、イラク戦争や捕虜収容所の惨たらしい内幕が裁判シーンで描かれ、被告が殺人に至った動機の複雑さがあぶり出されていく。実在のセンセーショナルな事件の裏側に潜む真実、すなわちニュースの核心を観る者に突きつける「ロー・アンド・オーダー」には、そんな社会派ドラマならではの“真のリアリズム”が脈々と息づいているのだ。

法とは何か?正義とは…

JUSTICE

「法と秩序」というタイトルが付けられた「ロー・アンド・オーダー」は、まさにアメリカの司法体系を1話の中に凝縮した形で描いている。その中で浮かび上がって来るのは、法で人を裁くことの難しさ、そして、善と悪、白黒付けることのできないグレーゾーンが少なからず司法体系の中に存在するという現実だ。刑事たちは自らの職務に忠実に、時には違法すれすれの捜査を行い犯人を逮捕するが、被告の弁護人の申し立てによって警察が身を粉にして集めた証拠が裁判では採用されないことも少なくない。一方で正義を成すという目的は同じでも、感情に流されることなく法を遵守し、社会の秩序を守る立場にある検察の仕事ぶりは警察との間に少なからず摩擦を生む。番組のラストは毎回裁判の結末で終了するが、世論や陪審員の常識、そして時に政治に左右されて苦い結果に終わることも多々あり、予測がつかない。視聴者はハラハラしながら判決と量刑に溜飲を下げることもあれば、往々にして怒りや悲しみを抱くことになる。果たして法治国家における正義とは何なのか?

「(自分は)善も悪も併せ持ち矛盾だらけだ。どうやって折り合いを?」と上司ヴァン・ビューレン警部補に問いかけるグリーン刑事の人間味あふれる苦悩は、全ての視聴者の共感を呼ぶだろう。一方で被害者に同情を示す部下に対して「感情は必要ない」と一刀両断する検事補マッコイは、時に憎らしいほど非情に映る。だが、法の僕たるマッコイのブレない姿勢が描かれているからこそ、視聴者は感情に流され過ぎずに事件を多角的にとらえ、"正義のあり方"について深く考えさせられるのだ。

アメリカのテレビ界を”席巻”した、犯罪捜査ドラマの最高傑作!

AWARD

各界著名人から贈られた、絶賛の声の数々!

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